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Mommy's Little Boy (TV) ママの可愛い坊や

カナダ映画 (2017)

“ロクデナシ” と切って捨てていいような悪い母親と、天使のように良い子との奇妙な取り合わせ。女性の方は、様々な映画の中で、これほどひどい母親はいないと思われるほどのひどさ。この母親は、主人公のエリックとは父親が違う2歳年上のマックスを寵愛し、お陰でマックスは鼻もちならない問題児になり、エリックは2人から虐めの対象となる。そんなマックスが、自らの愚かな行為のため死亡した時、寵児を失った母は、怒りをエリックにぶつけ、エリックを可哀想に思った隣人を殺害してしまう。母の狂暴さを身に染みて知ったエリックは、普通の健康的な家庭を築いている学校の野球のコーチに親近感を抱き、何かと頼りにするようになる。だから、エリックは、自分の住んでいる所から離れたくない。しかし、警察の捜査が進むにつれて危機感を覚えた母は、行きつけのバーで会った風来坊の男にメキシコに連れて行かせるよう説得し、いざ出発という時に発生する第二の殺人。TV映画ということもあって、かなり過度な人物設定と、常識では考えられないようなストーリー展開にはなっているが、危機に見舞われた時にエリックの見せる悲壮な表情と、コーチに会う時の幸せ一杯の表情とのコントラストが絶妙で、それを見るだけで十分の価値があると判断し、紹介することにした。

フィラデルフィアに母と、2歳年上の義兄と暮らしているエリックは、気の優しい子。それに対し、義兄のマックスは、暴力的でエリックを蔑み、虐めることしか考えない。ある日も、エリックが、近づいてきた犬を可愛がっていたら、電気ドリルで犬を傷付けようとし、それを止めようとしたエリックを殴る。マックスのことしか眼中にない母は、エリックが何を言っても取り合わない。向かいに住むノーラン夫人が見兼ねて注意に来ても、母は全く取り合わない。ちょうどその時、エリックとマックスは庭のプールに入っていた。そして、マックスが無理な飛び込みをして、プールの底で頭を打ち死亡する。それ以後、母の態度はますます奇異かつ攻撃的になっていった。事件は、ノーラン夫人が、食べ物も満足に与えられていないエリックに、食事を持って行ったことで起きる。母は、感謝するどころか、強烈に文句を言い、あまりのひどさに、夫人がエリックを預かろうと申し出、断られると児童虐待で警察に通報すると通告する。母は、夫人をフライパンで殴って殺し、エリックを連れて遠くのキャンプ場まで死体を捨てに行く。そして、その後、死体の運搬に使った夫人の車を、遠く離れたショッピングセンターの駐車場に放置し、中に財布も置いてくる。できれば、財布ごと、車を盗んで欲しかったからだ。この事件は、エリックにとって最悪のトラウマとなるが、その前に、良いこともあった。近くの公園に行った時、キャチボールをしている父娘のペアに遭い、親しくなっていた。しかも、その男性は、今年からエリックの通っている学校の野球のコーチになった人物だった。母とのいさかいが増すなか、エリックはコーチと親しくなることに生きがいを見出し、コーチの家でのバーベキューにも招かれる。その場で、エリックは、ノーラン夫人の死にまつわる詳しい事情を、魔女の寓話に託して話すが、あまりにリアルな内容に、違和感を持たれる。一方、エリックの母は、捜査が進み、自分の身が危険に迫っていると悟ると、バーで出会った風来坊のRVに乗せてもらって、メキシコに逃亡しようと考える。エリックは、フィラデルフィアを離れることに強硬に反対するが、簡単にいなされ、コーチに救いを求める。コーチは、児童保護サービスに通報し、調査のために刑事が訪れるが、それは出発を早めただけだった。RVの持ち主の風来坊は、暴君気取りで、エリックを支配しようとしたことから、エリックはRVの車内で見つけた拳銃で暴力を防ごうとして発砲し、風来坊を殺してしまう。狂乱状態になった母が、取り乱しながら運転している間に、エリックは母のスマホでコーチに連絡し、通報を受けた警察が、死体を遺棄し終えた直後の母を取り押さえる。エリックは、里親に預けられるが、エリックをわが子のように思っているコーチはずっと接触を保ってくれる。

ピーター・ダキューナ(Peter DaCunha)の紹介は、これで2例目となる。最初に紹介した時は2年弱前。『XX(XX/4つの不条理な物語)』(2017)の中の第1話『The Box(箱)』。ピーターの印象は、この映画とはまるで違う。全くの別人のようだ。こちらの映画の方が断然可愛くて、演技も光る。6歳の時からTVで活躍してきた子役で、映画やTV映画にも何本も出演しているが、主役級なのはこれ1本だけ。

あらすじ

カナダ映画で、撮影はオタワだが、映画の設定はアメリカのフィラデルフィア。そこの、Oakwell ave.という架空の通りに住む2人の義兄弟マックス(12歳)とエリック(10歳)は、あり得ないほど対照的。対外的にはいざ知らず、2人だけになると、兄はエリックを虐め、バカにし、その事実を押し隠し、母親の秘蔵っ子として可愛がられている。その一方で、おとなしくて、口下手で、控えめな弟エリックは、母に徹底的に嫌われ、何を言っても信用されない。映画の冒頭、兄弟が自転車に乗っていて、エリックが 「マックス、待ってよ」と言うと、マックスは、如何にもバカにした口調で、「マックス、待ってよ」とくり返し、「競争するぞ」と言う。「いやだ」。「負けると分かってるから、やりたくなんだろ、この負け犬」。「インチキするからだよ」。2人が、家に着くと、兄が 「エリック、来いよ」と呼ぶ。マックスは 「それ、ブレンディーだよ。スティールバッグスさんの犬」。マックスは、犬が好きなので、犬を呼び寄せて可愛がる(1枚目の写真)。それを見たマックスは、ガレージに行くと、電動ドリルを取ってきてスイッチを入れる。エリックは、「マックス、何する気だ?」と犬を庇う(2枚目の写真、矢印はドリルの本体)。マックス、「こっちへ来い、この雑種」と、ドリスの先端を犬の顔に向ける。「マックス、やめろよ!」。2人は争いになり、2歳年上のマックスが、エリックに跨る形になる。「どけよ!」。マックスは、「黙れ! ママにも、お前が誰か分からないくらいメタメタに殴ってやる」と言って、拳を振り上げる。それを見た、お向かいに住む独居老人のノーラン夫人が、「マックス、やめなさい!」と飛んでくる。マックスは、「こいつが始めたんだ」と嘘をついて、去って行く(3枚目の写真)。夫人は、「大丈夫?」と、心配する。そして、「お母さんに、ちゃんと話すのよ。兄弟同士、愛しみ合わないと」と説く。「義兄だよ」。「だからといって、虐めることなど許されない。分かった?」。エリックは頷く。
  
  
  

エリックがキッチンに入って行くと、ちょうど、兄が母に向かって嘘を言っている最中だった。「エリックがケンカを始めたんだ」。そこに入ってきたエリックは、「それは違う。マックスがスティールバッグスさんの犬を傷付けようとしたんだ」と、事実を述べる(1枚目の写真)。すると、マックスしか眼中にない母は、「エリック! お兄ちゃんとケンカしたの?」と、激しく責める。「マックスが始めたんだ!」(2枚目の写真、オープニングクレジットが入っている)。「ノーランさんに、僕の悪口をいっぱい」。「言ってない!」。「エリック! あたしを、悪い母親に仕立てたいのね?」。「僕は何も言ってない」。母は、2人にプールに行くよう命じる。以上の会話から、母は、エリックのことが嫌いで、何でも彼のせいにしようとしていることがわかる。そして、マックスが最低の嘘つきだということも。2人がプールに入っていると、庭のデッキチェアでうたた寝をしていた母を、庭の木戸から入って来たノーラン夫人が揺り起こす。そして、さっき見たマックスの暴行について話す。マックスが好きな母は、「子供対子供でしょ。はしゃいでるだけ」と、相手にもしない(3枚目の写真)。ノーラン夫人は、3人の男の子を育てた経験から、もっと深刻に捉えるべきだと進言するが、母はあくびをしただけ。そして、さらに親切な申し出をする夫人を、さっさと追い払う。夫人が出て行った後、この “ロクデナシ” の母は、「余計なお世話だ、くそ婆あ」とブツブツ。
  
  
  

そのうちに、マックスが 「エリック、模範演技だ」と言うと、プールサイドから体を “く” の字型にして飛び込む(1枚目の写真)。マックスは、プールの床面で頭を強く打ち、意識を失い、多量の出血を伴って水面に浮上する(2枚目の写真)。それを見たエリックは、あっけに取られてどうすることもできない。その時、デッキチェアに横になっている母が、「楽しく遊んでる?」と訊く。エリックは、先ほどのドリル、自分のミニカーが金づちで叩き壊された時のこと、先ほどの一発が頭の中を去来し、“こんな義兄は要らない” という思いが一気に高まり、「飛び込みしてる」とだけ答える(3枚目の写真)。そして、確実に義兄が死ぬまでじっと待っている。
  
  
  

どのくらい時間が経過したのかは分からないが、救急車が呼ばれ、既に死亡したマックスが担架に乗せられ、病院に搬送される(1枚目の写真)。そして、次の場面は、もう墓地。埋葬されたマックスの墓の前で母は嘆き悲しみ、エリックは墓とは離れた場所で解放感を味わっている。母は、そんなエリックを、「今すぐ、ここに来て」と、呼びつける。そして、「お兄ちゃんに手向けの言葉を」と命じる。「寂しいよ、と言うのよ」。その言葉を受けて、エリックは 「寂しいよ」とだけ言う。「あれから 何をしたかも、話しなさい」。「公園に行って、泳いだよ。ああ、そうそう、スティールバッグスさんの犬とも遊んだよ」と、笑みを浮かべながら話す(2枚目の写真)〔犬を殺そうとした兄への当てつけ〕。母は、「あたしたち、すごく寂しいわ。あんたがいないと、家の中は空っぽみたい」と言い、最後に、キスした手で墓石に触れる。母は、立ち上がると、そのまま行こうとしたエリックを、「お兄ちゃんに、さよならして!」と叱る。エリックは、母がいなくなったので、「バイ」と言うと、墓石の前の土を蹴り、墓石の表面を砂で汚す(3枚目の写真)。だからといって、エリックが悪い子という訳では決してない。これまで8年間、義兄エリックのせいで、虐げられた人生に甘んじてきたことへの小さな腹いせに過ぎない。
  
  
  

別な日〔服が違う〕、エリックが公園に行くと、自分より小さな少女が、父親とキャッチボールをして遊んでいる。今まで、そうした経験が一度もなないエリックは、羨ましそうにそれを見ている。すると、少女が取り損ねた黄色のテニスボールが自分の方に転がって来たので、拾って父親に投げる。「ありがと」。エリックは、嬉しそうな顔をする。そして、そのままバックすると、枯れ枝につまづいて転ぶ。それを見た親子が助けに駆け付ける。「大丈夫か?」。「うん、平気」。「ここへは、誰と?」。「僕一人で」。「一緒にやりたいか?」。「もち」。少女と並んでボールを取ることになったエリックは、少女に 「やあ」と声をかけ、少女も嬉しそうに返事する(1枚目の写真、2人とも笑顔)。その頃、母は、家で飲んだくれて寝ている〔シングルマザーだが仕事はしないし、家事すらしない〕。父親はエリックと しばらく投げ合った後、「今日は、これで切り上げる」と言い出す。エリックは、「なぜ止めるの?」と訊く。「今夜、バーベキューをするんだ。家に戻る前に、買い物していかないと」。そう言った後で、名前を尋ねる。「エリック」。「エリック、君も、夕食に帰るんだろ? ママとパパが、どこに行っちゃったかと心配してるぞ」。「パパはいない。僕が生まれた直後に出てった」。「ママと住んでるのか?」。「兄さんもいたんだけど、プールで溺れたんだ」。「それは、ひどいな。ニュースで観たのを覚えてる。君とママにとって、すごく辛かっただろう」。「あんまり〔Not really〕」(2枚目の写真)。この言葉に違和感を覚えたものの、父親は、「ケイリーと私は土曜の午後、またここに来る。よければ、一緒に練習していいぞ」と、一歩進める。公園の中を歩きながら、エリックは、ケイリーに、「お兄ちゃんや妹はいる?」と訊く。「ううん」。「どこに住んでるの?」。「マリゴールト通り」。「それどこ?」。ケイリーは腕で方向を示す。「ここから遠いの?」。「ううん、時々、歩いてくる」。2人はもう親しくなっている。
  
  
  

その夜〔服が同じ〕、玄関のドアのチャイムが鳴り、エリックが開けると ノーラン夫人が布を被せた皿を持って立っている。そして、「エリック、ママはいる?」と尋ねる。「寝てます」。「夕食は食べたの?」。「いいえ」。「タコス、作ったんだけど」。「いただきます」。エリックは皿を受け取ると、キッチンに持って行く。夫人はタコスを切り分けて皿に乗せる。そして、「ママは、どこにフォークを入れておくの?」。エリックが引き出しを指し、夫人がそちらの方を向く(1枚目の写真)。その時、寝ていればいいのに、母が入ってきて、「あたしの家で 何してんの?」と強く訊く。「私は、ただ…」。母は、話も聞かずに、「出てって」と命令する。「ブリアナ〔エリックの母の名〕、落ち着いて。私は、夕食を持ってきて…」。「この、おせっかい焼き!」。この、あまりに失礼な言葉に、夫人は耳を疑う。母は、さらに夫人を侮辱する。「あんた、エリックがマックスに虐められたって過度に心配し、その結果、どうなった?」(2枚目の写真)「あんたが口を出さなかったら、あの子は生きてた」。このひどい言いがかりに、夫人は、「何を言ってるの? 私が出てった時、2人とも元気だったじゃない」と反論し、エリックも、「そうだよ」と口を挟む。たちまち、母の罵声が飛ぶ。「エリック! 大人の会話に 口を挟むんじゃない!」。そして、夫人には、「あんたが、あたしの気を逸らしたのよ」〔眠っていた〕「あたしが、マックスに対するあんたの文句に邪魔されてなきゃ、もっと見張ってられたのに」〔横になっていただけ〕。この、事実と全く違う、責任のなすりつけに対し、夫人は、「マックスの死は事故よ。誰のせいでもない」と反論するが、理性を完全に失った母は、「あんたのせいよ!」と怒鳴る。そして、エリックの方を見て、「溺れたのが お前だったら良かったのに」とまで言う。夫人は、「よくまあ、そんな恐ろしいことが言えるわね」と呆れる。「あんた、エリックが大事なのね。だから、十分食べさせてもらってないと心配して… こんなクソなんか持ってきて… いっそ、連れて帰ったらどう?」。「いい考えね」。そして、母親が泥酔している間、エリックを預かろうとする。すると、「このガキは、どこにも行かせない」と言い出す。「僕、おばさんと行きたい」。「エリック! お黙り!」。我慢の限界を超えた夫人は、「エリックは、あんたの酔いが醒めるまで、私の家に泊ってもらいます。そうさせないと、一歩家を出たところで警察に電話しますよ。どうする?」と、酔っ払いのロクデナシに最終通告する。「出ていけ!」。「すぐに、警察が来ますからね」。ロクデナシの母は、フライパンを手に取ると、出て行こうとする夫人の後頭部めがけて、思いきり叩きつける(3枚目の写真、矢印はフライパン)。夫人は、その場に転倒し、死んだように見える。
  
  
  

母は、自分の仕出かしたことに気付き、「バーバラ〔夫人の名〕」と声をかける。心配になったエリックが、夫人の前に跪くと、「触るんじゃない! 死んだのよ!」と大声で制止する(1枚目の写真)。「お前のせいだよ! なんで家に入れたのよ!」。この女にとって、常に、悪いのはエリックとその庇護者。そして、「動くんじゃない」と言うと、外に出て行こうとする。「ママ、どこに行くの?」。「動くなと 言ったでしょ! 電話には出ない。ノックは無視」。母は、向かいにあるノーラン夫人の家に向かう。残されたエリックは、「ノーランさん、ごめんなさい。マックスが死んだのは、あなたのせいじゃありません。僕のせいです」と話しかける。すると、夫人に意識が戻り、呻き声を上げる。母は、夫人の自家用車に乗り込む〔鍵はかかっておらず、キーもさしたまま〕。夫人は、「エリック、助けを… 呼んで」と、息絶え絶えに頼む。観ていて腹が立つのは、エリックが実に優柔不断で行動力に乏しいこと。受話器を外して手に持つが、どうしようかと迷っているうちに、バタンと車のドアが閉まる音がする〔母が、車を家の前まで移動した〕。そこで、慌てて受話器を置き、「動くな」と言われた場所に戻る。すぐに母が入ってくる。母は、夫人を車まで引っ張って行こうと、エリックに手伝うよう命じるが、エリックは 「死んでないよ」と言う(2枚目の写真)。それを聞いた母は、再びフライパンを手にすると(3枚目の写真)、「目を覆って」と言い、夫人の頭を何度も叩く。エリックが素早く警察に電話していたら、夫人は助かっていたかもしれない。
  
  
  

母は、真っ暗な中を郊外に向けてドライブ。やがて、「KERNキャンブ場」〔架空の場所〕の表示板が、車のライトに照らされて浮かび上がる。同乗しているエリックも、それを見る。車は、茂みの前で停まり、ライトは点けっ放しにし、その明かりを頼りに、母が夫人の死体を引きずって草むらに放置する(1枚目の写真)。次のシーンでは、車は、どこかのショッピングセンターの巨大な駐車場の、閉店後の車1台停まっていない場所に停車する。そして、エリックに「手袋を外して、ポケットに入れなさい」と命じる(2枚目の写真)。「どうやって家に帰るの?」。「バス」。次のシーンは、もう自宅。夫人が昏倒していた場所の前にしゃがみ込んだ母は、エリックに向かって、「いいこと、今夜起きたことは誰にも話さない。何があろうと絶対に。ノーラン夫人が、今夜来たかと訊かれたら、来て、食べ物を置いて、出てったと言う。口論になったかと訊かれたら、ノーと言う。あたしは、その時、シャワーを浴びてた」と指示する(3枚目の写真)。そして、チェックするため、「今夜、ノーランさんは来た?」と訊く。エリックは僅かに頷く。「あたしと口論になった?」。首を横に振る。「彼女は食べ物を持って来た時、あたしはどこにいた?」。「シャワー」。「それでいい。これは重大事よ。お前が、一言でもしゃべったら、お前は連行され、刑務所に入れられる。ベッドと便器があるだけの小さな独房。本も食べ物もオモチャもなし。寒くて、ひもじくて、ずっと一人ぼっち」と脅す。
  
  
  

翌日、エリックは、公園で、この前の親子とブランコに乗って遊んでいる。父親に、「エリック、どこの学校だい?」と訊かれたので、「アイゼンハワー小学校〔架空〕の4年生」と答える。「私は、今年、アイゼンハワーの野球のコーチになる。君には、是非チームに入って欲しい」と言う。「僕には無理だよ。笑い者になってるから」。「なぜ、そんなことを言う?」。「マックスは、僕がスポーツ音痴だって」(1枚目の写真)。「そうは思わんな。君には才能がある」。その夜〔ブランコの時と同じ服〕、母は、行き先を告げずにエリックを車に乗せる。向かった先は、昨夜の駐車場。ノーラン夫人の車は、そのまま残っている。母は、その隣に自分の車を停める。そして、「あ~あ、車が盗まれてない」とがっかりする。そして、外に出ると、夫人の車の車内を覗く(2枚目の写真)。そして、戻ってくると、「財布がなくなってた。せめてもの幸いね」と言う。「なぜ幸いなの?」。「誰かが財布を盗み、クレジットカードかキャッシュカードを使えば、警察は、盗みのために殺されたと思うでしょ。あたしたちは疑われずに済む」(3枚目の写真)。
  
  
  

恐らく翌日。エリックは、チームに加わり、バッターボックスに立っている。コーチは、どこに立ち、どういう姿勢で構えるか、そして、ボールをよく見るよう指示する〔エリックは全くの素人〕。ピッチャーがアンダースローで山なりの緩いボールを投げ、エリックは見事に空振りする。しかし、コーチは、「走れ、走れ」と指示し、エリックは1塁に向かって走る。それを見ていた、マックスの元友達2人は、「あの ド下手」。「Tボール〔投げたボールを打つことができない子供がする球技〕でも、やってりゃいいんだ」と悪口を言う。それが耳に入ったコーチは、「2人とも止めろ」と叱る。一方、一塁に着いたエリックは、コーチに向かって嬉しそうにサムズアップ〔イイね〕を見せる(1枚目の写真)。野球が終わり、自転車に乗ったエリックを見たコーチは、「もう遅いぞ。家には帰らないのか?」と訊く。「帰りたくない」。「なぜだ? ママが心配するぞ」。「心配なんかしない」。「ヘルメットはどうした?」。そんなもの持っていないエリックは肩をすくめる。「12歳以下の子は、ヘルメットをかぶらないといかん」。「刑務所に行くの?」。「まさか。転んだ時に、ケガしないためだ」。コーチは、危険なので、自転車をハッチバッグに入れ、エリックを家まで送る。すると、母が飛び出して来て、「何なの? あんた誰?」と厳しい口調で訊く。「やあ、マイケル・デーヴィス。エリックの学校の教師の1人です」。それを聞くと、つっけんどんにはできない。それでも、接触を避けようと、エリックの手を引き、「母のブリアナ・ウィルソン」と言ったきり、ドアに直行しようとする。コーチは、「ヘルメットをかぶっていないと注意したんですよ」と、引き留める(2枚目の写真)。都合の悪いことは何でも人のせいにする母は、「知ってます。ヘルメットもあります。忘れただけです」と弁解すると、エリックに向かって、「何度、忘れるなって言わせるつもり」と叱る。あまりのことに、エリックは茫然とするばかり(3枚目の写真)。エリックを急いで家に入れた母は、ドアに鍵をかけ、エリックを睨んで終わり。次のシーンは、夜のバー。そこで1人で飲んでいた母に、風来坊が声をかけ、似た者同士の2人は さっそく店のトイレでセックス。
  
  
  

KERNキャンブ場の近くのブッシュの中をトレッキングしていた男性が、ノーラン夫人の死体を発見する(1枚目の写真)。それを受け、地元TVのキャスターが、現場からの生中継で、「今朝、女性の死体が脇道の溝から発見されたKERNキャンブ場から中継しています。情報筋の話では、女性は50代半ばから60代初め頃の年齢だそうです」と話している。そのニュースを耳にした2人に、衝撃が走る(2枚目の写真)。「今の段階では、女性がここで殺されたのか、ここで遺棄されたのかは不明です」。母は極度のパニック障害になり、それを見たエリックはオロオロするばかり(3枚目の写真)。
  
  
  

翌日(?)の練習が終わった後、エリックは、「デーヴィス・コーチ、今週の土曜も公園に行きます?」と尋ねる。「今週は行かない。ケイリーの誕生日だ。Piper's Place〔架空の室内遊園地〕に連れて行く」。「あの、カッコいい遊具がいっぱいある場所? 一緒に行っていいですか?」(1枚目の写真)。映画では出てこないがコーチは否定する。というのは、その後のコーチの家での夫婦の会話は、こうなっている。「何て答えたの?」。「『また今度』って、言った」。「その子、がっかりした?」。「ああ、とっても」(2枚目の写真)。そして、さらに、「君も、あの母親を見てみるといい。あの女は、一度も遊園地に連れて行ったことなんかないに決まってる」。「その子を連れて行っても、悪くなんかないんじゃない?」。「そうか?」。「そうよ。ケイリーだって、大好きみたいだし、その子のことを じっくり見てみたいわ。失くしたお兄ちゃんについては、なかなか話し辛いものよ。本音を言わせてあげたいわ」。ここで、場面は変わり、母は、バーで知り合った風来坊を自宅に連れて来る。すぐにベッドインした時の会話。「いい家だな」。「両親が死んだ時、残したお金で買ったの。前の夫が半分取ると思ったけど、取らなかった」〔家の所有権に関する唯一の情報〕。風来坊は、家に住んだことなど一度もないと話す。「ダンボール箱の中?」。「モービルホーム。旅から旅だ。縛られたくないからな。俺はRV〔キャンピングカー〕で好きな場所に行く。誰も俺を知らない。俺が誰で、どこにいて、何をしてるかを。俺は幽霊だ」。「幽霊は、消えることができるの?」。「ああ。そして、好きな時に、また現れる」(3枚目の写真)。この言葉は、自分に危険が迫っていると感じている母にとって、すごく魅力的だった。
  
  
  

その時、玄関のチャイムが鳴ったので、ドアを開けに行く。「あんた、誰?」〔もう、コーチのことを忘れている〕。「マイケル・デーヴィス」。それでも分からない。「先週会ったでしょ。息子さんのコーチだ」。「そう。で、何の用?」〔きわめて失礼な態度〕。そこに、エリックが現われて、「やあ、コーチと」、満面の笑顔を見せる(1枚目の写真)。コーチは、「妻と私は、今日が娘の誕生日なので、Piper's Placeに連れて行きます。エリックを招待したいと思うのですが」。「ママ、お願い」。「ダメよ。エリックは忙しいから。悪いけど」。「もちろん、費用はすべてこちらで持ちますし、私の娘も喜びます。妻のシェリーがきちんと面倒を見ます」。エリックは、母の前に立つと、すがるような顔で、「ママ、お願い、行かせて。一生、何でも言う通りにするから」と頼む(2枚目の写真、これほど面白い顔には滅多にお目にかかれない)。これで断ると、疑問を抱かれるかもしれないので、母は、嫌々 「いいわ」と言う。エリックは、「ありがとう」と言って母に抱きつくが、母は、嬉しそうな顔一つせず、「上着を取って来なさい」と命じる。コーチは、顔はニコニコしているが、内心では、この女に怒りを覚えている。自分の部屋に行ったエリックは、マックスが大事にしていたオモチャの車を取ると、上着の中に隠して持って行く。出て行く時は、さっきとはうって変わり、「バイ、ママ」と、顔も見ずにドアを飛び出す〔こっちが、母に対する本音〕。コーチは、「9時までにお返しします」と言うが、その時、向いにパトカーが停まったので、母の緊張は一気に高まる。死体の身元が確認されたのだ。Piper's Placeに入って行った4人は、すごく楽しそう(3枚目の写真)。エリックは、さっそく、マックスのオモチャの車を、誕生日プレゼントとしてケイリーに渡す。シェリーが、「あなたのオモチャなの?」と訊くと、「マックスのです」と笑顔で答える。普通なら、大切にする亡き兄のオモチャを平気で手放すことで、2人の関係がコーチ夫妻にひしひしと伝わってくる。
  
  
  

母は、パトカーの巡査から、ノーラン夫人の車が見つかったと聞き、すぐに家に戻ると、ベッドの風来坊に、「あんたのRVでおさらばしないと。ほら、起きて」と、布団を引き剥がす〔どんな場合でも、相手のことは一切考えない、一人勝手な女性〕。一方、遊園地では、シェリーが、「お兄さんのこと、本当は寂しいんでしょ?」とカマをかける。「ううん。意地悪だった」。「どんな風に?」。「ただ意地悪。いつも」。「お母さんにとっては、辛かったでしょうね?」。「毎日泣いてる。お気に入りだったから」(1枚目の写真)「でも、死んじゃった。だから、僕と2人きり」。「それは残念ね。時として、誰かが死んだ後に感じる悲しみを乗り越えるのに、長い時間がかかることがあるのよ」。「知ってるよ。ホントに悲しかったから〔ノーラン夫人のこと〕。マックスの時は違うけど」。「他の人が死んだのね。誰なの?」。これ以上話すと危険なので、マックスは、「知らない」と誤魔化す。一方、母は、風来坊のRVまで連れて行かせる。「どうだ。素敵だろ」。「この車、森の中みたいなトコでも停められるの?」。「ああ、森の中でも砂浜でも。行きたいトコならどこでも。メキシコとか」。「メキシコまで行けるの?」。これで、母の行先は決定した。Piper's Placeでは、エリックとケイリーが楽しく遊んでいる間、夫妻は脇に座って話し合っている。「お兄さんについて少し話したけど、驚いちゃった」。「何て言ったんだ?」。「寂しくないって。お兄さんは、すごく意地悪だったみたい。それに、マックスは、お母さんのお気に入りだったって」。「悲痛な話だな」。「それに、あの子が死に直面したのは、これが初めてじゃないみたい」。「母親は、あの子の世話を一切してないと思うな。あれはひどい」。母が家に戻ると、TVのニュースで、ノーラン夫人のことが取り上げられていた。キャスターの背後に映っているのは、母が、夫人の車を乗り捨てた駐車場だ。「ここは、2週間前に行方不明になったバーバラ・ノーラン名義の車を警察が発見した場所です。警察は、Kernキャンプ場から数マイルの場所で発見された死体が、この55歳の会計士のものだという鑑定報告を待っているところです。情報筋によれば、明日の夜には判明するそうです」(2枚目の写真)。母は真っ青だ。一方、4人は遊園地から自宅に移動し、デザートを前に、幼いケイリーは半分眠っている。ケイリーが寝室まで連れて行かれている間に、コーチは 「今日は楽しかったか?」と訊く。「今までで最高」。そして、「今夜、泊めてもらえません?」と訊く(3枚目の写真)。「ここで、寝るのか?」。エリックは頷く。「9時に戻すって言っちゃったからな」。「忘れてるよ」。「じゃあ、こうしよう。家まで連れていって、訊いてみよう。許可が出れば、お泊りすりゃいい」。車が家に着くと、母がドアを開けて出てきてしまい、“話し合いができそうもない雰囲気” になり、エリックはあきらめて車を降りる。
  
  
  

家に入ったエリックは、自室に行こうとして、片付けが全くされていないキッチンテーブルに座った母に呼び止められる。「アーケードは楽しかった?」(1枚目の写真、汚いテーブルに着目)。エリックは頷く。「あたしたちの秘密、誰かに話した?」。首を横に振る。「ノーラン夫人の車が今朝見つかった。盗まれるかと期待してたんだけど。そしたら、盗んだ奴の指紋が付くでしょ。まあ、いい。こっちは手袋してたから、バレっこない」「死体も、野生の動物に連れてかれて、食われると思ったけど、当て外れ。だけど、それもいい。どうせ、ここからうんと遠くに行くんだから」。その最後の言葉に、エリックはすぐ反応する。「それって、引っ越すってこと?」。母は頷く。「引っ越したくない!」。「心配しない。あたしが、全部手配するから」。エリックにとって、コーチはこれまで出会った最高の “友達” なので、絶対に離れたくなかった。だから、「僕は、どこにも行かない!!」と、エリックにしては珍しく、母に強く反抗する(2枚目の写真)。「僕は、ここにいる。いると言ったらいるんだ!!」。「ここには、いない」。「一歩も動くもんか!!」。そう言い放つと、母は放っておいて自室に直行する。母は、息子の意外な言動に、仕方なく部屋まで足を運ぶ。そして、「お聞き、エリック。今日、警官と話したの。奴ら、お前とあたしがノーラン夫人を殺したことを、じきに見つけるわ」。「殺したのはママだ。僕じゃない」。「2人でキャンプ場まで死体を運んだのよ。そもそも、お前が、あの女を招き入れなかったら、こんなことにはならなかった。警察に、刑務所にぶち込まれたいの?」。「もう、どうだっていい」。ここで、ずるい女は作戦を変える。「さっき、遠くに行くって言ったけど、バカンスのことよ。1週間くらい。どこか、すごくクールなトコ」。この女は、それが、ディズニー・ワールド〔フロリダ州、フィラデルフィアの南南西1400キロ〕だと嘘をつく。「嬉しくないの? ずっと行きたがってたじゃない」。「いつも、行く行くと口ばっかりで、一度も行かなかった」。「今度は、ちゃんと行く。OK?」。そう言われても、エリックの顔は暗い。どうせ、嘘だと思っているからだ。
  
  
  

次の朝、コーチは学校でWEB検索。「12歳の少年、プールで溺死」という記事を読む。この記事の中に、フィラデルフィアの地名と12歳という年齢が書かれている。あと、「弟と一緒にプールで遊んでいて」という簡単な状況も。コーチは、学校の生徒や父兄と対応する係の年配の女性教師に対し、この事故について話し、「この兄弟の母親と会ったことがあると思いますが」と切り出す。「ありますよ」。「何だか、お好きじゃないみたいですね」。「ブリアナのこと? ぜんぜん。溺れたマックスも、かなりの問題児だったわ。最低でも月に一度は、私のオフィスに呼び付けてた。母親に電話しても、引き取りに来るのに2時間も遅刻。そんでもって、私の指導にケチをつけ、一方的にマックスを守ろうとする。それも、いつも戦闘的に」。「エリックのことはご存じ?」。「何も問題を起こさなかったから、ほとんど知らないわ。先生方の話では、優しくて穏やか、賢いけど、控え目だとか」。「ブリアナは、どうやって生計を立てているのでしょうか?」。「食料品店で滑って転ぶかして受け取った和解金で暮らしているとか。私の知る限り、働いていません。なぜ、訊くのです?」。「彼女から受ける印象が、きわめて異常だからです」。「驚きませんね。あの女性は正気じゃないから」。その日の授業が終わり、コーチが校舎から出てくると、自転車置き場にエリックが待っていた。コーチが、「今日は、練習はないぞ」と言うと、「知ってます」と答える。「ママが迎えにくるのか?」。「迎えに来たことなんか一度もないよ。自転車に乗って帰るつもりだったけど、ヘルメットを また忘れちゃって」と言う(1枚目の写真)〔コーチに車で送ってもらいたくて待っていた〕。コーチの車の中で、エリックは、「明日の夜、お泊りしていい?」と、おねだりする。「さあ、どうかな」。「約束したじゃない」(2枚目の写真)。「分かった。君のママに訊いてみよう」。エリックは、家に飛び込んでいくと、「ママ、明日、コーチの家でお泊りしていい?」と尋ねる(3枚目の写真)。「他に誰が? お前1人だけ?」。「ううん、チーム全員。僕だけ行かないと、変に思われる」〔嘘〕。「いいわ。独りでやりたいことがあるし」。エリックは、外まで走って行き、「OKが出たよ!」と、嬉しそうに報告する。ところが、コーチが母に住所を渡そうとすると、「僕が言うから」と言って、コーチを家に入らせない〔嘘がバレるから〕。コーチがそれ以上何か言おうとすると、「じゃあね」と、玄関のドアを閉めてしまう。
  
  
  

翌日、コーチの家の庭で。コーチは、もっぱら娘のケイリーと遊び、妻のシェリーがエリックの相手をしている。ケイリーのクマのぬいぐるみが話題になったので、エリックが、ケイリーのために書いた紙をシェリーに見せる(1枚目の写真)。それを見たシェリーは、「あなた、キャンプ場には一度も行ったことがないって言わなかった?」と訊く。「行ったことないよ」。「じゃあ、どうしてKERNキャンプ場を知ってるの?」。エリックは、ノーラン夫人の死体を乗せて真っ暗な道を通っている時、ライトに浮かび上がった “KERNキャンプ場” の文字が頭に焼き付いてしまい、うっかり書いてしまったのだが、こうして訊かれると、正直な性格なので困ってしまう〔TVの中継で観たとか、何とでも言える〕。「秘密なの? あのね、秘密を閉じ込めてしまうと、胸が苦しくなるものよ。もし、そんな秘密を抱えてるのなら、話すと楽になるわ」。それを聞いても、エリックは、辛そうにクマのぬいぐるみをじっと見つめるだけで、何も言わない(2枚目の写真)。「私が、秘密を話してあげたら、あなたのも話してくれる?」。「できないよ」。「良くない秘密なの?」。エリックは渋々頷く。場面は夜に変わる。焚火の前に座り込んだコーチとエリック。コーチは、「不気味な話を一緒に作ってみないか?」と、エリックを誘う。そして、幽霊屋敷に住む魔女の話を始める。「魔女は、近所の子供たちに怖れられていた。というのも、5年前…」。ここで、エリックが割り込む。「誰かを殺したから」。「そして、木の葉も落ちた10月の満月の夜には、子供たちは魔女の家の近くを歩くのを避けた」。エリックが再び割り込む。「魔女は、子供たちをフライパンで殴り殺し、死体をトランクに入れ、森の中まで車で行くと、茂みの中に捨てた」(3枚目の写真)「そして、遠くまで車を持って行き、中に財布を残すんだよ」。まさに、エリックの母がやったことだ。コーチは、「驚くほど詳細なストーリーだな」と驚く。シェリーは、「あなた、作家みたいね」と褒めた後、「でも、分からないところがあるわ。なぜ、車を遠くに持って行き、財布を残してくるの?」と尋ねる。エリックは、「もし、車が盗まれたら… よく分からないんだけど、警察は魔女を捕まえられないから」と話す。夫妻は、この異常な話の中に、良くない秘密が隠されていると信じる。
  
  
  

一方、RVが駐車している場所で、風来坊は、エリックの母に、エンジンの部品の交換が必要で、出発は木曜になると話す。「じゃあ、木曜、あたしがエリックを学校から連れ帰ったら、ここを出ましょ」。すると、風来坊は、「ちょっと待て。ガキを連れてくなんて話、聞いてないぞ」と文句を言う。「あんた何 考えてんの? あの子を置いてくとでも?」。「知ったことか。もう自分の面倒ぐらい見れる年だろ」。「あたしたちのプライベートは邪魔させないから」。「俺のトレーラーだから、俺のルールがある」。「あんたは、ボディショット〔ある種のエロティックな行為〕のことだけ考えてりゃいいの」。これで、ようやくエリックの同行が可能になる。家では、エリックが、コーチの一家との楽しかった思い出を何枚もの絵に描いている(1枚目の写真)。野球の練習から帰ってくると、母が絵を持って待ち構えていた。「あたしのこと、これっぽっちも愛してないのね?」。「愛してるよ、ママ」。「この絵は何?」。そう言うと、母は、全部の絵を床に捨てる。エリックは、大切なものなので 急いで拾う。「お前は、あたしより コーチの家族の方が好きなんだ。だから、ああも強硬に引っ越したくないって言ったのね」。「お願い、怒らないで」(2枚目の写真)。母は、エリックが拾った絵を奪うと、もう一度投げ捨て、そのまま家を出て行く(3枚目の写真、矢印は絵)。エリックは泣き崩れる。ロクデナシの母が向かった先はバー。バーテンにさよならを言うためだ。
  
  
  

夕方になり、プールに足だけ入れて、一人寂しく時を過ごしていたエリックは、玄関のドアがバタンと閉まり、母の笑い声と、聞いたことない男の声がしたので驚いて振り返る〔家の中では、酔っ払った2人が醜態をさらしている〕。家の中に入って行ったエリックが、壁の角から覗いてみると、母が男と抱き合っている。しばらくすると、母がエリックに気付き(1枚目の写真)、羞恥心のかけらもなく、「エリック。友だちのシェーンよ。彼が、ちょっとした旅行に連れてってくれるの」と、泥酔した口調で紹介する。「挨拶しなさい」。エリック:「Hi」。シェーン:「Hello」〔Hiの方が、カジュアル〕。シェーンは 「スペイン語を覚えろよ」と言い、母の部屋に連れ込まれる。エリックが、一人で居間でTVを観ていると、テーブルの上に置かれたものに目が行く。それは、①アメリカとメキシコの双方が載った地図、②英語とスペイン語の対応表(ともに、2枚目の写真)、その下には、③不動産仲介契約の用紙もあった。“母は、あの男と一緒にメキシコに行くに違いない。そして、僕も一緒に連れて行かれる”。そう確信したエリックは、夜にもかかわらず、自転車でコーチの家に向かう。チャイムを鳴らし、ドアを開けたシェリーに、「コーチに話があります。緊急事態です」と言う。「まあ、どうしたの?」。そこに、コーチがやってくる。エリックは、持ってきた地図を見せ、「ママは、シェーンって男と家を出て行くつもりです。ディズニー・ワールドに行くんだと言ってましたが、メキシコに行って、帰って来ないつもりです!」と、泣いて訴える。そして、「お願い、やめさせて。シェーンなんかと行きたくない」とコーチに抱きつく。「シェーンって?」。「家にやってきて、ママの寝室に入っていった男」。コーチは、明日の練習後、エリックの家に行き、ロクデナシの母と談判すると約束する。「そんなのダメだよ。僕があなたに話したと知れたら、ママに殺されちゃう。お願い、ここに置いて」。その頃、TVでは、森の中で発見された死体がノーラン夫人のものだと判明したことを伝えている。一方、コーチは、どう説得したのか分からないが、エリックを家まで車で送る。
  
  
  

翌朝、コーチは、先日話し合った年配の女性教師と相談する。「もし、あの母親が、エリックを退学させたいと望んだら、止める手立てはないわ」。「私には、この女があの子を、神のみぞ知るような場所に連れて行くのを、見過ごすことはできない」(1枚目の写真)。「唯一の手段は、CPS〔児童保護サービス〕に介入してもらうことね」。「そうするよ」。ロクデナシの母が、家を出払う用意をしていると、玄関のチャイムが鳴る。母は、警察が来たのかと角に隠れて玄関を覗くが、相手が平服の女性と分かり、それまで飲んでいたビール缶を脇に置くと、ドアを開ける。「何でしょう?」。「ブリアナ・ウィルソンさん? フィラデルフィア警察のジャン・マイヤー刑事です。入っても?」。母は、真っ青になったに違いない。部屋の中は片付けなしで散らかっているので、「乱雑で悪いわね」と、普通の女性らしく振る舞う。「エリックは、ここにいますか?」。意外な質問に、「いいえ。学校が終わった後、何人かの友だちと公園に遊びに」と答える。「酔ってますね?」。「まさか、なぜ?」。「中に入った途端、臭いで分かりましたよ」。母は、嘘を付いたと思われないよう、ランチで、グラス・ワインを飲んだことを思い出したかのように、前言を打ち消す。「私が伺った理由は、CPSから あなたの息子について調査するよう依頼されたからです」。「調査? なぜ?」。「彼が無視され、虐待されているという懸念があるからです」。「誰が、そんなことを?」。刑事は、もちろん言わない。そして、エリックの部屋を見せるよう要求する。部屋に入ると、ベッドの上には荷造り中のバッグが置いてある(2枚目の写真)。「どこかに行くのですか?」。「大きくなって着られなくなった服を寄付しようと」。刑事が母の部屋に入ると、そこにも、ベッドの上にスーツケースが広げられている。「あなたの服も寄付を?」。「服が要る大人もいるでしょ」。刑事は、次に冷蔵庫の中を見る。ほとんど空なので、「食料は これだけ? エリックの朝食は?」と訊く。「グラノーラ・バー〔シリアルを棒状にしたお菓子〕。ランチは学校で買ってる。子供にちゃんと食べさせてないと言いたいわけ?」。「何も言ってない。ただ、質問してるだけ」。「この家に、他の大人は住んでる?」。「あたしだけ」。「今、エリックがいるのは、何て公園なの?」。「Parkway DriveにあるO'Connor公園」。「エリックと彼の友達に同行している大人の名前は?」。「シェリル。姓は忘れたけど」。これで刑事は帰って行く。調べれば、嘘はすぐバレるので、母は大急ぎで、近くにいるエリックを呼びに行く。「来なさい。出発よ」。「なぜ? どこに行くの? 別の場所に行くんじゃない?」。「質問攻めはうんざり」。そう言うと、エリックの自転車を持って行く。「イヤだよ、ママ。どこにも行かない!」。「今すぐ車に乗らないなら、この自転車、誰でも盗めるように公園に放置してくるわよ」(3枚目の写真)。
  
  
  

刑事はすぐに公園に行くが、エリックはいないし、管理人は、エリックはこれまで一度も来たことがないと話す。そこで、パトカーにエリックを発見するよう警報を発する。その頃、母は、エリックを乗せて、シェーンのRVの所まで来ていた〔周囲は森なので、かなり郊外〕。母は、トランクからスーツケースを出すよう、エリックに命じる。そして、シェーンにキスすると、「ついておいで。RVの中を見せたげる」とエリックに言う。シェーンは、母の後をついて行くエリックに 「何一つ触るな」と警告する(1枚目の写真)。荷物を奥に置いた母は、運転席の後ろのソファに座り 「いよいよね〔This is it〕」と言う(2枚目の写真)。「何が?」。「シェーンと長旅に出発」。エリックは、嫌な顔をして ソファの奥にあるテーブル席に座る(2枚目の写真の左下角に映っている)。母は、シェーンと話そうと、ドアを閉めてRVから出て行く〔車の準備にあと15分かかると知らされる〕。RVの中では、「何一つ触るな」の警告など完全に無視したエリックが、引き出しや棚の中を順に見て行く。すると、拳銃を見つける。エリックは、「信じられない〔Holy crap〕」と言うが(3枚目の写真、矢印は拳銃)、銃社会のアメリカで一人旅を続けているのだから、持っていて当然だろう。エリックは、銃を持って狙いをつけると、「誰にも、刑務所なんかに入れさせないぞ」と口にするが、そもそも、どうして撃ち方を知っているのだろう? エリックは、銃を、テーブル席の自分の服の下に隠す。
  
  
  

エリックはRVから出て、自転車のところまで行く。それを見たシェーンは、「おい、ガキ、それをどうする気だ」と咎める。「自転車を載せるだけ」(1枚目の写真)。「ダメだ。自転車はそこに置いてけ。RVにそんな場所はない」。「幾らだってあるじゃない」。「そこに置け」。「ママは、自転車を持って行けると言ってた」。「俺に対して、その口のきき方は何だ! 自転車はダメだ!」。そう言うと、自転車をつかんで母の車のトランクに戻す。「ママに訊いてくる」。その言い方に頭に来たシェーンは、エリックの体を掴むと、車体に押し付け、「どこにも行くんじゃない。お前のママは、敬意ってものを教えなかったらしいな。これから、俺がたっぷり教えてやる」。そう言うと、ベルトを抜いて、それで引っ叩こうとする(2枚目の写真、矢印はベルト)。「これは俺のRV、そこには俺のルールがある。シャツを下げろ」。エリックは、逃げ出し、RVの中に入る。シェーンは、殴るのに最適だと思ったようだが、それは大きな誤算だった。エリックが拳銃を真っ直ぐ構え、「僕に、あんたを殺させるな」と威嚇したからだ(3枚目の写真)。
  
  
  

「使い方も知らんくせに、撃てっこない。銃を寄こせ!」。エリックは、わずかに首を横に振る。「ケガする前に寄こせ」。「僕とママを行かせないなら、ケガをするのは、あんたの方だ」。シェーンは、ベルトを置くから銃を寄こせというが、エリックはそんな手には乗らない。「お前の勝ちだ。ベルトを置く」。シェーンは、ベルトを置く振りをして、いきなりベルトでエリックの顔を殴ろうとする。その直前に、銃は発射され、シェーンの心臓を打ち抜いた(1枚目の写真、矢印は銃創)。そこに母が入ってきて、「何したの?」と驚く。シェーンが死んでいるのを見ると、「一体、何てことを!?」と怒鳴る。「僕を殴った。殴るべきじゃなかった」〔これは嘘〕。「銃を寄こして!」。母は、死体からRVのキーを取ると、「死体を動かさないと。手を貸しなさい」と命じる。エリックが足を、母が上半身を持って、死体をRVの奥に引きずり込む(2枚目の写真)。母は、すぐさまRVを運転し、メキシコ方面に向かう。その途中で、ようやく母が、先ほどの行為を非難する。「あたしたちをメキシコに連れて行ってくれる男を殺したなんて信じられない。一体何を考えてるの?」。それに対し、エリックは、「彼はいなくなったんだから、もう行かなくていい。家に帰れるよ」と反論する(3枚目の写真)。「そんなことできっこない。お前、何も分かってないのね!」。
  
  
  

エリックは、ソファに放置してある母のバッグからスマホを抜き取る〔RVなので、運転席はかなり下にあるし、運転に神経を払っているので気付かれない〕。そして、コーチにメールを送る。そこには、「エリック: マイケル。僕だよエリック。これはママのスマホ。お願い助けて。男に襲われ、撃ったら、死んじゃった」と書いてある(1枚目の写真)。驚いたコーチは、「今、どこだ?」とメール(2枚目の写真)。「ママと一緒にRVに乗ってる」。「どこに向かってる?」。「メキシコだと思う」。「誰を殺した?」。「シェーン」。コーチはすぐに警察に電話し、その内容が刑事にも無線で伝えられる。「CPSから依頼のあったエリック・ウィルソンの件で、マイケル・デーヴィスから電話がありました」「彼の話では、少年が暴行を受け、やむを得ず発砲し、母親のボーイフレンドを殺したそうです」。「何ですって?!」。ここで、場面は再びRVの中。母は、エリックに向かって、怒りをぶつける。「死体をどこかで捨てないと」「殺人を犯した人間に、警察が何をするか知ってるの?」「ここから、できるだけ遠くに逃げないと」。こうした言葉に対し、エリックは、「僕、コーチと一緒にいたかっただけだ」と反論する。そこに、コーチからメールが入る。「通話中にして電話を切るな。今、君のいる場所を捜してる」「何かあったら電話する」。しばらくして、道が分からなくなった母が、スマホで地図を見ようと、「スマホを渡して。財布の中にある」と命じる。「どこにもないよ」。「財布を寄こしなさい!」。「車の中に置いたのを見たよ」。「車? シェーンのトコに置いてきた車?!」。母は、ハンドルに叩いて悔しがる。警察署の中での会話も重要。刑事と署員の会話の中で、ノーランという言葉を聞いたコーチは、「あのノーラン夫人?」と尋ねる。「ええ。Kernキャンプ場の近くで死体が見つかった老婦人」。「Kernキャンプ場?」。「それが、どうかしましたか?」。「車はどこにあったんですか?」。「Exeter Crestに放置してありました」。「あの話は、ホントだったんだ」。「何の話? 何を言ってるんです?」。「エリックです。私の家でお泊まりした時、裏庭でキャンプファイアをしました。その時、実にリアルな魔女の話を始めたんです。人を殺して森の中に死体を捨て、車を他の場所に捨て、財布をわざと残してくる。あまりにリアルだったんで、こう訊いたんです。『なぜ、車を遠くに持って行き、財布を残してくるんだ?』。すると、エリックは、『もし、車が盗まれたら、警察は魔女を捕まえられないから』と答えたんです。私は、エリックは、ノーラン夫人殺害の目撃者だと思います」。
  
  
  

母は、地図を買うため、街道沿いのショップに寄る。車が大きいので、一番端にしか停められない。母が車を離れるや否や、エリックはスマホを取り出し、コーチに音声で通話する。「僕だよ」。「いいかい、どんなRVか教えて欲しい」。エリックは、撮影モードに変更すると、RVから出て、店から見えない側のRVの側面を移動しながら写す。刑事は、ナンバープレートを写すよう指示する。そこも、店からは見えないので、ナンバープレートも写す(1枚目の写真、矢印はナンバープレート)。「もう、中に戻らないと。ママがすぐ戻ってくる」。「エリック、君が撃った男シェーンだが、姓は分かるか?」。「知らない」。刑事は、グローブボックスの中のような場所を捜すよう指示する。母は 店から出て、すぐに地図を拡げ、カナダ東部を見ている。行き先変更だ。エリックは、電話会社からの請求書に印刷されていたフルネームを見つけて、スマホで送信する。フルネームは、「Shane Reese」だ。「エリック、今、どこにいる?」。「レストランのようなトコ」。「店の名前は?」。「分からない。ママが戻ってくるから、話すのやめるよ」。母は車に乗り込むと、来た道を戻り始める。エリックは、すぐにスマホを取り出すと、コーチに、「聞いてて」とメールする。そして、コーチに聞こえるように大きな声で、母に向かって、「なぜ引き返すの? これって来た道じゃない」と質問する。「お黙り! 死体があるんだよ。臭い始める前に、どこかに捨てないと」。その言葉を聞いたコーチは、スマホを切り替え、刑事に行き先の変更を伝える。母は、道路脇に車を停めると、エリックに手伝わせて死体を引きずり出す(2枚目の写真)。そして、そのまま車から降ろし、草むらの中に捨てる。エリックが、時間稼ぎのため、「もっと奥の方がいい」と言うが、即座に拒否される。
  
  
  

RVに戻った母は、「床に血の跡があったら、国境を通過できない。どこかに掃除道具が置いてあるハズ」と言い、片っ端から探し始める。ようやく洗剤を見つけてホッとするが、テーブルに置いてあった自分の服を取ろうとした時、その下にエリックが隠しておいたスマホが床に落ちる。それを拾った母は、通話モードになっていることに驚く(1枚目の写真、矢印)。そこで、「もしもし」と言うと、コーチが、「やあ」と答える〔なぜ、エリックの声ではないのに、返事したのだろう?〕。母は、「お前、何したの?! これで電話してたの? あたしたちがどこにいるか、全部話したの?」と追及する。「ううん」。「この嘘つきのクソガキ! 何考えてるの? お前を、刑務所送りにしないよう、必死になってるのが分かんないの?! なのに、こんな裏切りまでして!」。「どこにも行きたくなかったんだ!」(2枚目の写真)。「お前は行くのよ、6×9〔1.8m×2.7m〕の独房にね。このド阿呆!! マックスなら、こんなバカはしなかった!」。この、“何でも人のせいにする” 母が、エリックを無為に責め続けて間に、パトカー2台がRVの脇に停まり、刑事が拳銃を構える(3枚目の写真)。「ブリアナ・ウィルソン。はっきり見えるよう、両手を挙げて出てきなさい」。
  
  
  

愚かな母は、シェーンの拳銃を手に持つ。エリックは、「もう、殺すのはやめてよ」と頼む(1枚目の写真)。母は、エリックの腕をつかんで自分の前に立たせると、「あたしの前にいなさい」と言い、ドアを開ける。そして、地面に降りると、拳銃をエリックの顔に向ける。「止めなさい、ブリアナ。銃を下ろして!」。事態を変えたのは、遅れて到着したコーチ。コーチの姿を見たエリックは、母の手を振り払ってコ-チに向かって走る。コーチは、「ケガしてないか?」と心配する。母に向かっては、刑事が何度も 「銃を捨てて!」と強く命じるが、頭の悪い母にはどうしたらいいのか分からない。遂にキレで、「行かせるものか」とエリックの方に銃を向けて歩き始めたので、脚を撃たれて倒れる。エリックは、「ママは 死んだの?」と心配する。「いいや、大丈夫だ」。「僕、刑務所に入るの?」(3枚目の写真)。「そんなことはない。信じてくれ」。
  
  
  

場面は変わり、「Riverdellフォスター・ホーム〔里子を預かる家〕」と表示される。そこには、エリックより大きな子が2人預けられている。開放的なリビングにはエリックとコーチが座っている。そして、コーチから贈られたヘルメットを手にしたエリックが、「これで自転車に乗れるね」と、笑顔で言う(1枚目の写真)。「私は、もう行かなくちゃいかんが、来週、ウチでバーベキューをやるから、また来て欲しい。その後、公園に行こう」(2枚目の写真)。里親から「ランチの時間よ」と声がかかる。コーチが立ち上がると、エリックは、「ちょっと待って」と言い、2枚の紙をコーチに渡す。1つは、ケイリーのために描いた絵、もう1つは刑務所にいる母に宛てた手紙。エリックは、どこまでも優しい子だ。最後に、エリックがコーチに抱きついたところで映画は終わる〔コーチは、エリックを養子にするのだろうか?〕
  
  
  

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